2012年7月5日木曜日

海の不思議、2、ミジュンの不思議な行動


この写真は私がよく行くポイントで、海の中の黒い部分がミジュンの群れである。
ミジュン(鰯の一種)生態については色々な文献やインターネットで調べてきたが、それらに載っていない事でよく解らない事がいくつかある。今日はその中でも普段から気になっている事を二つ載せてみたい。
その(1) ミジュンの通勤ラッシュ
 沖縄でルアー釣りをしている方は良く知っていることだが、ミジュンは早朝まだ薄暗いうちに沖の方から岸辺や港に入ってきて、夕方薄暗くなってくると沖に帰っていくのが普通の行動パターンである。それを毎日繰り返しているのだが、その岸辺への出入りの時にガーラが襲来する事が多く、ルアーマン達もその時間に合わせて釣行に行くことが多い。
 その様子は人間社会にも良く似ている。沖の深い所が自宅で、岸辺の河口や港が会社、職場と考えると、朝夕の出入りは人間社会の通勤行動とよく似ている。ミジュンも毎朝押し合いへしあいしながら職場へ出勤して来るのである。まさに通勤ラッシュである。
 しかし通勤時のストレスは,人間とは比較できないくらいミジュンの方が高いと思う。岸辺に近づいて来ると突然ガーラやシジャー(ダツ)が現れ、友人や家族が襲われる。突然頭の上から網を被せられ陸に引き上げられる。この様子を人間社会に当てはめると、例えば人混みの中を勤め先へ向かって歩いていると、突然ビルの影から大きな口の怪獣が現れ次々と通行人を襲っていく。そこを何とか通り過ぎて職場近くになったら、今度は突然ビルの上から大きな網が落ちてきて人々をさらっていく。こう言うような悲惨な光景になるのではないか。それを毎日繰り返すのである。そんな風に考えると本当に人間に生まれて良かったと思う。生まれ変わってもミジュンだけにはなりたくい。
 その様な危険を冒してまで、どうしてミジュンは通勤してくるのだろうか。勿論、岸辺のほうが餌が多いので来るのだろうが、それならば沖に帰らずにずっとそこにいた方が浅くて安全だし、通勤の労力も要らないので生活しやすいと思うのだが。
その通勤の理由がわからない。
 
その(2) ミジュンの危機回避能力、危機伝達能力
 普段は砂浜から投網をしているので判らなかったが、上の写真のポイントでは橋の上から投網を投げる場合がある。その時初めて気づいた事は、ミジュンは同じ場所へ2~3回網を打つと、もうこの場所へはほとんど近寄ってこなくなることである。その範囲もほぼ2m以内の正確な距離で近づかない。この写真は橋の上から写しているが、橋の上からは下のほうにサンゴ礁の岩があり、投げる場所が限られてくる。その場所をミジュンたちは知っているのである。ミジュンはあっちに行ったりこっちに来たりと一日中移動しているのだが、この場所は確実に避けて通っていく。近くに来てもまるで投網が着水したときの様な形で、その場所だけ白い海底がはっきり見えるのである。翌日になると又その場所にも来るのであるが、やはり2~3回網を打つと近寄らなくなる。
 色々な研究によるとミジュンなどの鰯類は、大型魚などが捕食のために近づくと、目くらましのために鱗(ウロコ)を剥がす危機回避行動をするらしい。そのためタイなどと違い簡単に鱗がはがれるとのことだが、確かに投網でミジュンを上げるといっぱい鱗が落ちている。
 その事から思ったのは、ミジュンの鱗は単に目くらましのためだけではなく、サンゴ礁の様な浅場では、海底にウロコを落とすことによって危険な場所を連絡、警告しているのではないかと言う事である。海が穏やかな時、3~4日連続して投網を投げていると全く近寄って来なくなる。しかし海が荒れて海底が洗われた後は、再度近寄ってくる。又、早朝や夕方の暗くて見にくい時間帯には比較的警戒心無く近寄ってくる。それらのことから、ミジュンの鱗は危険な場所を他のミジュンに伝達する、あるいは警告する役割を持っているのではないかと思うのだが。
『鱗のたくさん落ちているこの区域は、大変危険ですのでけっして近寄らないで下さい』の様な警告看板みたいなものではないかと思うのだが、どうだろうか。



 
にほんブログ村 釣りブログ シニアアングラーへ にほんブログ村 地域生活(街) 沖縄ブログ やんばる情報へ